【考察】『美女と野獣』本当の悪者は魔女?理不尽すぎる行動の謎を解く

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『美女と野獣』はディズニー映画の中でも特に人気の高い作品の一つであり、その美しい音楽と深いテーマ性に何度観ても心を奪われる傑作だ。しかし、この名作を愛するがゆえに、物語の核心部分にある一つの大きな疑問について考えずにはいられない。

魔女の理不尽な裁きと幼い王子への重すぎる罰

ディズニーアニメ映画『美女と野獣』(1991年)に登場する魔女は、わずかな登場時間にもかかわらず、物語全体の運命を決定づける存在として異彩を放つ。その行動と動機には、一貫性も倫理性も見られず、ディズニーのヴィランの中でも特に謎と理不尽さが際立っている。

物語の冒頭、王子が舞踏会を開いていた夜、魔女は醜い老婆の姿で現れ、一輪のバラと引き換えに一晩の宿を求める。王子はその見た目に恐れをなし、申し出を拒否。すると老婆は美しい魔女に変身し、「内面の美を見抜けなかった罰」として王子を野獣の姿に変える。さらに21歳の誕生日までに真実の愛を見つけられなければ、永遠に野獣のままで過ごすという呪いをかける。

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この「21歳までに」という設定は、アニメ版『美女と野獣』の英語版冒頭ナレーションで確認できる。ただし、日本語吹き替え版では年齢についての明言はない。映画全体の緊張感やバラの花びらが徐々に散っている描写から判断しても、物語が展開する時点は「21歳の誕生日の年」、もしくは「誕生日前の最後の数日」であると考えるのが自然だ。つまり、王子は現在21歳、あるいは20歳である可能性が高い。劇中で召使いのルミエールが「10年もさびついていた」と発言していることから、呪いがかけられてから10年が経過していると推測でき、これにより呪いを受けた当時の王子の年齢は10歳、または11歳程度であったと考えられる。

11歳の少年が判断ミスで一生の呪いを受けるというのは、教育的観点から見ても重すぎる罰のように感じられる。しかも呪いは王子本人だけでなく、無関係な召使いにまで及び、彼らは家具や食器に変えられてしまう。王子の罪に対して周囲全体を巻き込むという行為は、教育的指導ではなく、もはや懲罰的な私刑に近い。

原作では、魔女は王子の求婚を断られたことに逆上して呪いをかけたという明確な動機があるが、ディズニー版ではその設定は採用されていない。動機が不明確なまま理不尽な罰を与える構図は、ヴィランとしての説得力に欠ける。

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実写版で露呈した魔女の矛盾した行動原理

実写版『美女と野獣』(2017年)では、魔女は”アガット”という物乞いの姿で村に潜み、人間社会を観察している様子が描かれる。中でもガストンはベルの父モーリスを森に置き去りにし、殺そうとするなど明らかな悪人だが、魔女は彼には一切介入しない。この不均衡は、魔女の道徳基準の一貫性のなさを際立たせる。

さらに物語終盤にはアガットが再登場し、自らの魔法で呪いを解くシーンも描かれる。これは「最初からいつでも解除可能だったのではないか」という疑問を呼び、呪いが単なる気まぐれや社会実験にすぎなかった可能性を示唆する。アガットとして村人に混ざり、何年にもわたり王子や周囲の人々の様子を観察していたという事実は、魔女の性格の悪さ、もしくは愉快犯的な性質を明らかにしている。魔女の行動すべてが茶番であり、真の目的は王子を試すことではなく、自らの娯楽だったのではないかという見方さえできる。

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出演:エマ・ワトソン他

信じること。愛すること。

魔女の呪いによって野獣の姿に変えられてしまった美しい王子。呪いを解く鍵は、魔法のバラの花びらが全て散る前に誰かを心から愛し、そして愛されること―。だが野獣の姿になった彼を愛するものなどいるはずがなく、独り心を閉ざし本当の自分を見失っていく。

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魔女の背景設定への期待

ディズニーの他のヴィランたちは、一定の動機を持っている。例えば、ガストンにはベルを自分の妻にするという明確な目的があり、ジャファーは王座への野心、アースラは海の支配という野望を抱いていた。しかし『美女と野獣』の魔女には、明確な動機や背景が一切与えられていない。原作の動機(求婚拒否)を採用しないのであれば、前日譚や続編で魔女の行動原理を補完してもらえれば興味深い。

仮に、魔女がかつて魔女の国から追放された存在であり、人間界への影響力を拡大して魔女の国に復讐を果たそうとしていたという裏設定があれば整合性は増す。王子を野獣に変えて城に閉じ込めることで、この地域の統治者を無力化し、自らが影から人間社会を支配できる状況を作り出していたのかもしれない。物語終盤では、ベル率いるレジスタンスが魔女に立ち向かい、正義の魔女たちが彼女を連れ帰る展開も可能だ。そうすれば王子の呪いがただの理不尽ではなく、物語全体に通底する社会的・政治的なテーマへと昇華できる。

『美女と野獣』は「見た目で判断してはならない」「真実の愛は内面に宿る」という強いメッセージを持つ傑作として、深く印象に残る作品だ。だからこそ、その根幹を担う魔女の背景についてより詳しく知りたくなる。今後魔女の背景や意図を掘り下げてくれたら嬉しいというのが一ファンとしての願いだ。

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『美女と野獣』をもっと深く楽しみたい方には、ディズニープラスがおすすめ。1991年のアニメ版『美女と野獣』はもちろん、2017年の実写版『美女と野獣』も見放題で配信中。両方を見比べることで、魔女の描かれ方の違いや、それぞれの作品が持つ魅力をより深く理解できるはずだ。

ディズニープラスなら、他のディズニー・ヴィランズが活躍する作品も豊富に揃っており、ガストンと他のヴィランたちとの比較も存分に楽しめるだろう。

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